
毎月更新される「最近の仕事」だけでは紹介しきれない仕事の特集コーナーです。(不定期更新)
◎ 第2回 「ロング グッドバイ」 パパ・タラフマラ
ダンスでも演劇でも漫才でもある、世界唯一の舞台表現が、この30年、世界中の人々を熱狂させてきました。
パパ・タラフマラが、来春3月、活動に終止符を打ちます。この12月から、いよいよ最後の連続公演。集大成です。ファイナルです。
ラストダンス、どうぞご一緒に!
(チラシの言葉より)
ファイナル連続公演の情報はこちら →http://pappa-tara.com/fes
AD・I 葛西薫 D 引地摩里子 C 安藤隆
…という訳で、今回は、1997年にパパ・タラとサン・アドが出会って、以来作り続けてきた宣伝クリエイティブを振り返ります。
舞台宣材物を作る時期には、まだ具体的イメージがないことが多いため、妄想をやや暴走気味に膨らませ進めていくのですが、
そのクリエイティブが実際の舞台にも少し作用したような片鱗を見つけると大変嬉しくなります。
「島 — No Wing Bird on the Island」(1997)
AD・I 葛西薫 D 川原真由美 C 安藤隆
世界を覆うさまざまな境界をどう捉えるかという視点を創造の源とした「島」シリーズ最初の作品。ドイツ人メディアアーティスト、中国人作曲家とのコラボレーションで制作された。真っ白な舞台そのものが破壊されるシーンは圧巻。非常に薄い紙を使ったポスターは、木製の人体模型をもとに、自由さを奪われた鳥のようなイメージを表現。(P)Taro Yoshida
「島 — ISLAND」(2001)
AD 葛西薫 D 池田泰幸 C 安藤隆
何もない舞台に登場人物が二人だけという、パパ・タラフマラ最小規模の作品。交わるかのように見えて擦れ違う男女、朗々と響き渡る声は、静かに力強く感情を揺さぶる。鏡面のように真白いチラシは冷たい孤独感を滲ませる。 (P)Hiroshi Koike
「青/ao」(2001)
AD 葛西薫 D 池田泰幸 C 安藤隆
1994初演の改訂版。深い海の底のような、あるいは宇宙のような、静寂で濃厚な青の世界の中へと、幻想的なダンスがひきずり込む。パパ・タラのアタマにつけた“遠方団”とともに、青のグラデーションは遼かへと誘う。 (P)Katsuji Sato
「WD」(2001)
AD 葛西薫 D 池田泰幸 C 安藤隆
「WD=What have we done?」は、全4章「I was Born」「Love Letter」「So What?」「The Sound of Future SYNC.」からなる超大作。20世紀のすべてを総括し、21世紀の行方を問いかける。祝祭のイメージから、明るい色調のポスターが生まれ、美術・会田誠さんによるセットをそのまま表す「WんことD刃包丁」のコピーに。
「Birds on Board」(2002)
AD 葛西薫 D 池田泰幸 C 安藤隆 HM・I 高野雅子 Ph 上原勇
日韓交流事業のもと、韓国人アーティストらを迎えた作品。 当時の二国間の複雑な空気が織り込まれた、船上で繰り広げられる可笑しくも哀しいカーニバル。奇妙なメイクを施した登場人物による飛び立つ鳥の絵柄、「はじまったばかりのぼくたちは」というコピーは、今日のような韓流ブームを予見していたろうか。
「SHIP IN A VIEW」(2002)
CD 葛西薫 AD・D 池田泰幸 C 安藤隆
1997初演「船を見る」の海外向け改訂版。主宰・小池博史さんの原風景でもある、高度成長期の地方の工業港湾都市、行き交う船に想いを馳せる少年の姿には、国境を越えて、誰もがノスタルジーをかきたてられる。旗のように軽いラップ紙に銀のインクで鈍色の街を表現。
「青い頭の雄牛」(2003)
CD 葛西薫 AD・D 池田泰幸 C 安藤隆 作画 MAYAMAXX
コピーに「それいけ、こいけ、独演会」とある通り、演出の小池博史氏自らが主演した実験的異色作。暗い部屋、パラパラと打ち込まれるパソコンの文字。消えては現れる女。一人の男が現実と虚構の間でもがき苦しむ姿は、さながら追い詰められた闘牛のよう。雄牛の絵は、画家MAYAMAXXさんの作。
「STREET of CROCODILE — ストリート・オブ・クロコダイル 計画2」(2004)
AD 葛西薫 D・I 池田泰幸 C 安藤隆
前作「ストリート・オブ・クロコダイル」に、ヴィトルド・ゴンブロヴィッチの「コスモス」が合体し、奇々怪々とした悲喜劇に拍車がかかる。「計画1」で縮こまっていたワニは身体を紅潮させ大胆に蠢き、「…変化に備えて油断せよ」と囁く。蛇腹のチラシ兼ポスター。
「HEART of GOLD — 百年の孤独」(2005)
AD・I 葛西薫 D 引地摩里子 C・I 安藤隆
パパ・タラ念願の、ガルシア・マルケス「百年の孤独」の舞台化作品。マコンド、ブエンディア一族の100年の栄枯盛衰が、豪華に、鮮やかに浮かび上がる。個性豊かな群像劇のイメージから、ポスターには、顔の中に顔があったり、沢山の台詞がちりばめられた。 (P)Hiroshi Koike
パパ・タラフマラの「僕の青空」(2006)
AD 葛西薫 D・作画 堀内恭司 C 安藤隆
再びスズナリでの少し毛色の変わった小規模公演。歌で紡がれた「青空」は、青春のように賑やかで切ない。ポスターの飛行服の男が不思議と小池さんのイメージと重なった。パパ・タラフマラのロゴ、タモ網のような「P」マークが誕生した。
「トウキョウ⇔ブエノスアイレス書簡」(2007)
AD・I 葛西薫 D 引地摩里子 C 安藤隆
地球の裏側にいるの恋人からの手紙を待ち続ける女。虚実入り混じった世界に出入りする怪しい登場人物たち、舞台袖の生演奏バンド、と「恋はくるくる回り舞台」のコピー通り、てんこ盛りのステージ。顔のイラストには、葛西の秘技“裏文字”も隠れている。 (P)Hiroshi Koike
「ガリバー&スウィフト — 作家ジョナサン・スウィフトの猫・料理法」(2008)
AD 葛西薫 D 引地摩里子 C 安藤隆
新機軸、童話シリーズの第一弾。「ガリバー旅行記」の作者スウィフトの稀にみる偏屈な眼を通して、異様で奇妙な世界を描く。手作りのレタリングタイトル、「椿説」というちょっぴり難しそうな言葉が、混沌の物語を予感させる。 (P)Hiroshi Koike
「パンク・ドンキホーテ」(2009)
AD・I 葛西薫 D・I 引地摩里子 C 安藤隆
童話シリーズ第二弾。だが、ロシナンテもサンチョも出てこない「ドン・キホーテ」は、ピエロのような顔が並ぶイラストのごとく、「パパタラ至上最高にハートウォーミングな家族の物語」となった。 (P)Hiroshi Koike
「Nobody, NO BODY」(2010)
AD・I 葛西薫 D・I 引地摩里子 C 安藤隆
定番、サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」さえ、パパ・タラの手にかかるると、若さと躍動感に溢れたステージに。前作「パンク・ドンキホーテ」と対になったチラシビジュアル。 (P)Tsuyoshi Iwamoto
「パパ・タラフマラの白雪姫」(2011)
AD・I 葛西薫 D 引地摩里子 C 安藤隆 I 土屋絵里子
童話シリーズ第三弾。宣伝ビジュアルのリンゴの絵のように、強烈なインパクトの白雪姫、お妃たちが繰り広げるエンターテインメント。チラシのコピー「白雪姫という題名は女性はみな白雪姫であると。一面真白の雪化粧の下に人に言えない本身を隠しているじゃないかと。そうして僕を騙したじゃあないかと。~~」もドキリとさせた。 (P)Hiroshi Koike